「俺、好きな奴がいるんだ♪」

彼は幸せそうに言った・・・

 
 

 

【友人と恋人の境界線】 

 

   

 

ある晴れた昼下がり。

にこやかに話をしている彼の名は光熱斗。

ONB(オフィシャル・ネット・バトラー)で小学六年生。

今日はトレードマークのバンダナをはずし、髪を下ろしたままという珍しい姿をしている。

その隣にいるのは伊集院炎山。

熱斗と同じく、ONBで小学六年生にして大企業I.P.C.会社の副社長でもある・・・

仕事の後なのだろう。

いつもの赤の上着に迷彩柄のズボンではなく、きっちりとしたスーツを着こなしている。

熱斗のネットナビ、ロックは炎山のネットナビ、ブルースと只今お出かけ中。

炎山達は今は『友人』として普通に公園を歩きながら話をしたりしているのだが・・・

 「・・・突然、何を言い出すのかと思えば・・・」

炎山は熱斗の『好きな人がいる』発言を呆れたように言うが、心なしか、少し顔が歪んでいる・・・

 「なんだよその言い方!!・・・俺だって・・・好きな人ぐらいいるよ!!」

 「わかったわかった・・・そう怒るな。」

怒る熱斗をなだめるように優しい声でいう。

本当はその熱斗がいう『好きな人』を見つけ出して半殺しにしたい・・・

と炎山は思っているのだが・・・

何故炎山がそんなことを思うのかというと、炎山は熱斗のことが好きだから・・・

・・・出会った時の初めての印象は最悪だった。

けれど、一緒にいると楽しくて、段々ずっと一緒に時を過ごしたくなっていた・・・

なるべくばれないようにするためにオフィシャルの仕事を理由に熱斗の近くにいた。

この恋心がばれないよう、自然を装って・・・

だがしかし、やはり危険な仕事になると炎山は熱斗から離れ、一人で仕事をこなしたりもした。

常にこの気持ちがばれないように気を遣いながら・・・

 「・・・で?そいつには告白したのか?」

 「してねーよ!・・・勇気が・・・なくてさ・・・」

少し俯き、照れ臭そうに熱斗は言う・・・

一瞬、炎山の顔がかなり歪んだが熱斗はギリギリ気付かなかった。

 「その・・・熱斗の好きな人は・・・どんな奴なんだ?・・・桜井・・・なのか?」

かなり気になることを炎山は興味のないふりをして聞いてみた。

 「違うよ・・・メイルじゃない。」

熱斗の一言に炎山はホッとした。

いくら頑張ったところで男の炎山が熱斗の恋人になることは一生ないのだが・・・

と、思っていたのに・・・

次のセリフには、

 「・・・実は・・・男なんだ・・・俺の好きな奴・・・」

さすがの炎山も驚き、目を丸くした。

 「お・・・男が好きなのか!?」

 「ち・・・違う!!男が好きなんじゃなくて!!!!」

 「・・・その男だけの限定か?」

熱斗はコクンと頷く。

顔を少し紅潮させ、ゆっくりと話し出した。

 「初めはさ・・・あんまりそんなの意識してなかったし喧嘩とかいがみあいもよくしたりしてた・・・
 けど一緒にいると楽しくてさ、ずっと一緒にいたいと思うようになってたんだ・・・でも・・・」

最初は楽しそうな顔で言っていたのだが途端、熱斗は悲しそうな顔をした。

 「好きな人は・・・いつもは一緒にいるのに・・・危険なことになると・・・
 いつも一人でそれを片付けようと無理をするんだ・・・
 なんか・・・信用・・・されてないのかなって・・・思えてさ・・・俺は役に立ちたいのに・・・」

炎山はそんな熱斗の顔を見て、咄嗟に

 「そんなことはない!」

と、いってしまった。

 「・・・え?どういうこと・・・?」

不思議そうな顔をして熱斗は炎山を見る。

それに焦った炎山は咄嗟に考えをめぐらす。

 「そ・・・そいつは・・・多分、お前を危険な目にあわせたくなくてそんなことをしているだけだ・・・
 悲しむことじゃないさ。」

 「そっか!それならいいんだけど・・・」

微笑む熱斗に言わなければ良かった・・・と後悔した。

この純粋無垢な笑顔が自分以外に向けられると思うと炎山にとっては面白くない・・・

それどころか腹立たしくも思う。

 「熱斗・・・そいつの特徴はどんな奴なんだ?」

気になる質問を熱斗にするとなぜか熱斗はクスッと笑った。

その反応に炎山は怪訝な顔をする。

 「な・・・何がおかしいんだ?」

 「いや、炎山なら絶対に知ってる奴だからさ。」

 「俺の知っている奴?」

知っている奴と言われ、炎山は考える・・・

すると一人思いついた。

 「まさか・・・シャーロの軍人じゃないだろうな?」

 「違う違う!!ライカは絶対にありえないよ!」

力いっぱい否定する熱斗に炎山はホッと安心する・・・

 「その人の特徴は賢くて、ナビのオペレートも凄くて、
 俺より強いしさ!あと、特徴といえば容姿かな?」

 「容姿?」

 「うん、髪形は大分変わった形してるし・・・瞳の色も皆と違うし・・・
 あ〜・・・でもこれいうと誰かわかっちゃうからなぁ・・・」

言おうか躊躇している熱斗に、少しいらついたが、我慢して熱斗から話してくれるのを待った。

 「・・・まぁいいか、もう・・・ずっと前から覚悟していたことだし・・・」

フッと軽く笑うと、熱斗は顔を上げ真剣な表情で炎山を見た。

 「言うよ。そいつ、銀と黒の髪の毛に透き通るようなアイスブルーの瞳(め)をしてるんだ・・・
 それに小学生なのに大企業I.P.C.会社の副社長をしてるんだぜ。」

熱斗のセリフに炎山は目を見開いた。

 「ね・・・熱斗・・・まさかそれは・・・」

 「・・・そうだよ。俺が好きなのは・・・炎山なんだ・・・
 変・・・だよな・・・男の炎山を好きになるなんてさ・・・」

声を掛けようとしたが、掛ける前に熱斗は炎山の方を向くと無理矢理笑顔を作り、炎山を見た・・・

 「ごめんな・・・本当は・・・ずっと黙ってるつもりだったんだ・・・炎山の近くにいたかったから・・・」

 「熱斗・・・?」

 「・・・俺・・・ずっと炎山のこと・・・騙してたんだ・・・
 ホントの気持ちを知られて・・・炎山に嫌われたくなかったから・・・」

辛そうな瞳に悲しさに歪んだ顔で炎山を見た後、熱斗はクルリと後ろを向く・・・

 「熱斗!!」

 「ごめんな・・・気持ち悪いだろ?男に告白されてさ・・・俺・・・
 極力炎山の前に出ないように気をつけるよ・・・それじゃ・・・今までごめんな・・・」

泣くのを抑えるような声でそう炎山に告げるとその場から駆け出した。

熱斗が俺のことが好き!!??

なのに・・・何故逃げる・・・?

こんなところで逃がして堪るか!!!

 「熱斗!!!」

ガシッッッッ!!!

右腕を掴まれ、グイッと引っ張られ、炎山の胸に抱きつく形になった。

 「え・・・炎山!?」

 「返事も聞かずに消えるのは・・・反則じゃないか・・・?」

思っていたより遥かに優しい声に、熱斗は炎山の方を向く。

すると、炎山は優しく微笑みながら熱斗を見つめていた・・・

 「まさか・・・お前が先に俺に告白するとはな・・・」

 「え・・・?」

狐に摘まれたような顔をする熱斗に炎山は幸せそうに抱きしめる。

 「俺も・・・お前が・・・好きだ・・・」

暫く目が点になっていたが・・・

 「・・・え・・・えええぇぇぇ!!!???」

10秒後驚きの声とともに熱斗の顔がみるみる真っ赤になった・・・

だが、熱斗は顔を上げ、炎山の顔を見る。

 「で・・・でも、炎山にはアネッタが・・・」

そう・・・炎山には婚約者がすでにいて。

困惑した表情をすると炎山は真剣な表情で熱斗を見た。

炎山には熱斗しか見えていない・・・

熱斗以外愛することなど・・・もう炎山には出来なくなっていた。

そんな炎山に婚約者など何の意味もない。

 「婚約者(あんなもの)など・・・ただの飾りだ・・・
 俺が本気で好きなのは熱斗・・・お前だけだ・・・」

真剣かつ優しい瞳に、熱斗は嬉しそうな表情を見せた・・・

 「で・・・でも・・・」

 「俺では不安なのか?」

その台詞に、熱斗は首を横に振る。

 「ううん・・・全然不安なんかない!でも・・・なんかアネッタに悪いなって思って・・・」

 「ああ・・・気にするな。どうせ飾りだ、
 結婚しても形だけだからな・・・婚約などいつでも破棄できるしな。」

フッと微笑み、熱斗を見る。

 「じゃあ・・・いいの?気にしないで・・・俺、男だよ?周りの人とかに反対されるんじゃ・・・」

 「上等だ。反対されれば駆け落ちでも何でもすればいい。
 それぐらいの覚悟がなければこんな恋愛なんてなんて成り立たないさ。」

悪戯っぽい笑みに、熱斗は二カッと笑った。

 「わかった!そんなこと言ったからにはずっと傍にいろよ!
 どんなに危険でも・・・傍に居させてくれよ・・・」

熱斗の台詞に炎山は苦笑する。

 「出来るだけ努力はしよう。」

 「出来るだけじゃなくて、絶対だ!」

ズイッと攻め寄られ、炎山はフッと微笑み、口付けた。

 「わかった・・・絶対な。」

 「ああ!」

 

〜この日から二人は【友人】の境界線を越え、【恋人】となった・・・〜

 

 

 

 

 

 

+FIN+

 

 

 

 

 

 


 

 

やっとかけたよ!炎熱小説!
でもやっと書いたのがこれかよ・・・(泣)
なんか悲しくなるな・・・
もっとうまく書けたらいいのに・・・(涙)
2005/8/15  

 

 

 

 

 

 

 

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